研究課題
本研究では,天然におけるアモルファス・結晶中間体の産状ならびに生成環境を観察し、採取された試料の結晶学的ならびに化学的な構造の解析を通して、アモルファス・結晶中間体鉱物が生成する原因を解明することが目的である。研究の初年度からおこなってきた野外調査において採取された試料について透過型電子顕微鏡ならびに走査型電子顕微鏡,ラマン分光法などを用いて内部構造や化学組成分析,内部組織の観察を行った。この結果,低温の熱水下から形成されるアモルファス・結晶中間体鉱物では,成長初期の核形成時期に形成されていることを明らかにした。その研究成果は鉱物科学会年会ならびに資源地質学会年会にて発表した。結晶成長時の核形成理論に基づいて,アモルファス・結晶中間体の構造が,結晶の不均質核形成時に有利に働くことを解明し,アモルファス・結晶中間体の形成過程を実験ならびに理論的に解明した。天然での観察結果ならびに理論な解析結果を踏まえて,シリカ鉱物の室内合成実験をおこない,合成試料の解析から成長ごく初期段階にアモルファス・結晶中間体が形成されていることを確認した。そして,低温熱水の晶出鉱物はアモルファス・結晶中間体の欠陥構造の安定性に大きく左右され,出現する相も決定されることを見出した。さらに今回の調査において高温の熱水下においてもアモルファス・結晶中間体が形成されることを見出し,その形成過程は結晶成長時の成長過程に起因することを見出した。この研究成果の一部は国際雑誌に論文として公表した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件)
Scientific Reports
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