δ-AlOOHに対する高圧下その場放射光単結晶X線回折実験を行い,回折強度データの消滅則の変化から8 GPa付近で圧力誘起相転移を確認した.軸率の変化傾向が相転移圧力の前後で大きく変化している.回折強度データを収集し,相転移前後での結晶構造解析に成功した.結晶構造解析の結果,相転移前後で(i)空間群はP21nmからPnnmに変化すること,(ii)水素結合に関与するO-O距離が圧力変化に伴って著しく減少し,構造中の水素結合が強化されることなど多くの新事実が明らかとした.圧力誘起相転移は水素結合の対称化へ向けた水素原子の等価サイト間における無秩序配列により生じることが明白となった.
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