研究課題
日本列島の島弧火山において、限られた層準ではあるが多くの火山で普遍的に産する灰長石巨晶ついて、九州南部および伊豆ー小笠原弧、中部地方、菅平近傍の保基谷岳火山を中心に、灰長石の形、色調、化学組成、結晶学的、鉱物学的特徴を調べ、また、巨晶中に包有される微小結晶等について分析を試みた。最終年度に実施した研究成果:鹿児島県竹島産および鬼界カルデラの薩摩硫黄島火山に産する灰長石巨晶について結晶科学的な分析から、同様な化学組成(An89-93)を有し、巨晶の元素面分析結果から、結晶成長形に沿って配列した微小包有物に対して比較的大きな組成変動が見られたが、それ以外の多くの部分では極狭い組成範囲での波動累帯構造が見られることが判明した。その微小包有物はFeを含む硫化鉱物あるいは自然Feであることが推定された。また伊豆弧、三宅島産の灰長石巨晶からは、Caに富む微小輝石結晶や自然Cuの板状結晶が確認されたが、硫化鉱物は確認できなかった。菅平近傍の保基谷岳火山(~5 Ma)からは淡黄色の灰長石が観察され、元素分析からは、累帯構造は見られるものの、An=90-93の均一な組成, およびFeO wt.%=04-0.6%の比較的高いFeの存在が確認できた。この結果からは、長石のAlのサイトへのFe3+の置換が推定された。微小鉱物は存在は確認できたが、鉱物種までの同定にはいたらなかった。本研究における各火山における灰長石巨晶にはFeなどの元素を含む端成分が存在すること、およびそれらの量比が結晶の色などに表れる可能性明らかになった。また微小包有物では、硫化鉱物(Feの硫化物)が確認できる場合があり、それらは巨晶形成時のマグマの組成を反映している可能性が示された。またSr同位体比の部分測定結果は、灰長石が個々の火山の中ではprimaryなマグマからの生成が確認できた。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件) 備考 (2件)
火山
巻: 61 ページ: 1-20
Economic Geology
巻: 112 ページ: 28-37
Proceed., 2015 IAGR Annual Convention & 12th Intenational Symposium on Gondwana to Asia, IAGR Confernce Series
巻: 21 ページ: 5-6
Goldschimidt 2015 Abstract volume, Cambridge Publications Ltd.
巻: 25 ページ: 2051
Subseafloor Biosphere Linked to hydrothermal systems TAIGA Concept, Springer
巻: 2015 ページ: 275-287
http://www.geol.tsukuba.ac.jp/~gansekihp/
http://www.geol.tsukuba.ac.jp/~gansekihp/arakawa.html