研究課題
本研究課題では、初年度よりJ-PARCのBL11(PLANET)に設置された大容量プレスを用いて8万気圧までの無水、含水珪酸塩ガラスの高圧中性子回折実験を行ってきた。更に、中性子線と相補的な情報を与えるX線回折実験も合わせて行い、多方面からの珪酸塩マグマの構造解析を行ってきた。最終年度では、目的の圧力下での含水マグマの中性子回折データを取得するべく高温高圧セルの開発及びその予備的な実験を行った。中性子線による回折強度はX線などと比べると格段に弱く、更にガラスや融液からの回折パターンは結晶質のものと比べシグナル/ノイズの比が小さいため、十分な試料体積、露光時間を確保することが必要不可欠である。この課題を解決するため、長時間かつ大容量の試料を安定的に溶融状態で保持できる高温高圧セルの開発及びその実証試験を行った。開発したセルは径4.0mm高さ3.5 mmの試料を封入することができるよう設計した。予備実験にはアルバイト(NaAlSi3O8)組成の酸化物粉末を用いた。実験条件は、2万気圧、1600℃で行い、この温度圧力条件で、5時間の安定的な温度保持がなされた。更に、回収した試料は全て容器内でガラス化しており、高温高圧下で融液状態が達成されていたと考えられる。従って、この高温高圧セルを用いることにより、2万気圧までの条件で珪酸塩融液の高圧中性子回折実験が十分可能になったと言える。尚、2015年度中に行う予定であったJ-PARCでの珪酸塩メルトの高圧中性子回折実験は、当該施設のターゲット不調により2016年度に繰り越されたため、2016年度中に実験を行う予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
高圧力の科学と技術
巻: 26 ページ: -
Geophysical Research Letters
巻: - ページ: -
10.1002/2016GL068377
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A
巻: 780 ページ: 55-67
Journal of the American Ceramic Society
巻: 98 ページ: 4111-4116
10.1111/jace.13859
固体物理
巻: 50 ページ: 249-239
Journal of Material Science
巻: 30 ページ: 2291-2299
10.1557/jmr.2015.214