研究課題
最終年度は課題研究の総括として,主に成果の公表(国際誌への掲載)を実施した。変成作用の圧力差がもつ精度を評価する手法を公表した。また,それに基 づき福岡県大牟田地域に産する低圧変成岩が,接触変成でなく広域の高温変成作用で生じたことを明らかにした結果を公表した。これは相平衡解析と年代測定の 2つの論文として公表した。さらに,この事実を説明する浮力を原動力とする変成帯の上昇モデルを構築した成果も公表した。 当初計画していた山口県柳井地域の領家変成帯の温度圧力構造解明は,公表するに至っていない。大きな原因は,地理的な圧力分布を解釈する際に生じる様々 な可能性を絞り込む手法を開発できることが分かったからである。この開発を待って,領家帯の温度圧力構造から分かることを明確にしたのちに公表することに した。 天草変成帯の変成継続時間決定の課題は,再度現地調査を行ない,野外と薄片スケールで詳細な記載を加えた。現時点で,年代測定と変成条件推定が完了し, 投稿論文を執筆中である。 前述の変成帯の上昇モデルは,粘性流体の相対運動を必要とする。それは天然の変成岩でも有限歪みとして検知されることが必要である。課題研究では予定し ていなかったが,福岡県糸島地域の高温変成岩を対象に,形成時期の異なる2種類の構造の変形解析を行なうことで,低圧変成作用後の有限歪を特定し,歪み量 と歪みの型を求めることに成功した。この成果も公表することができた。 以上のように,課題研究で予定していた大牟田の低圧変成岩類の成果を手法の開発,モデル構築も含めてすべて公表できた。加えて,モデルが予測する有限歪 みの解析にも成功し,公表できたことは予想以上の成果である。領家帯の成果が公表に至らなかった点は目標を達成していないが,発展的な成果に繋げるためで あり,課題研究全体としては目標を達成できたと考えられる。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 3件、 査読あり 12件) 学会発表 (7件)
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