研究課題
本研究では、レーザーアブレーション(LA)装置と多重検出器型ICP質量分析計(MC-ICP-MS)を用いたシステム(LA-MC-ICP-MS)を用いて、沈み込み帯の火山岩の単斜輝石斑晶やメルトインクルージョンに含まれるホウ素の同位体比をin situ分析する手法を開発し、それを天然の岩石へ応用することである。H27年度の後半からH28年度後半はLA装置が故障したため、計画どおりの実験ができなかった。修理完了後、LA-MC-ICP-MS分析で実用化が容易と考えられる、ホウ素を数%含んだトルマリンを用いたin situ分析技術の開発に取り組んだ。1)開発した分析法を応用し、山口県やネパールヒマラヤの岩石中のトルマリンについて分析を開始した。トルマリンのホウ素同位体比はそれぞれの母岩のホウ素同位体比と類似しており、トルマリンのホウ素同位体比が流体の起源・成因研究のトレーサーとして使用できることを確認した。2)沖縄トラフの拡大軸で見つかっている海底熱水鉱床に関わる、マグマ起源のホウ素の挙動を調べるため、「ちきゅう」を用いた掘削調査航海で得られた試料に対して、堆積物中の間隙水のホウ素同位体比を測定した。本研究で開発した簡便なホウ素分離法(マイクロ昇華法)を適用している。間隙水のホウ素同位体比は、鉱床域の周縁部では海底面下の深度が増すに従い、海水よりもd11B値が大きくなる。一方、熱水域中心部では熱水との混合によりd11B値が小さくなることを明らかにした。熱水の成分にはマグマ由来のホウ素が含まれている。そのホウ素の定量的な見積もりを行うため、火山岩や海底堆積物のホウ素同位体比を測定中である。3)LA-MC-ICP-MS分析の輝石への応用については、スタンダードを用意し、測定を開始したところである。ホウ素含有量が少ないため、十分なイオン強度が得られず、繰り返しの再現性が悪い状況である。
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