研究課題/領域番号 |
25400520
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
前川 寛和 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50173696)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マリアナ前弧 / 低温高圧型変成作用 / 蛇紋岩化作用 / プレート沈み込み帯 / 蛇紋岩海山 / 蛇紋岩メランジュ |
研究概要 |
マリアナ前弧には、かんらん岩由来の蛇紋岩からなる大規模な蛇紋岩海山群が分布している。これまでの研究で、3つの蛇紋岩海山、すなわちコニカル海山、南チャモロ海山、ツインピークス海山から変成岩類が回収されている。平成25年度の研究では、もっとも大量に変成岩類が産するツインピークス海山に焦点を当て、変成岩類の構成鉱物、鉱物の化学組成について調べた。その結果変成岩類は、低温高圧型変成作用を受けており、深さ20km前後から蛇紋岩により海底まで運搬されたことがわかった。これまでの研究で、コニカル海山から回収された高圧変成岩類は、中央海嶺玄武岩由来である可能性が高いとされている。ツインピークス海山の変成岩類が同様の起源をもつか否か、今後、変成岩類の全岩組成による解析を行って明らかにしたい。 マリアナ前弧の蛇紋岩海山と陸上の蛇紋岩メランジュを比較するために、北海道沙流郡平取町糠平川流域の神居古潭変成岩類の調査を行った。今回の調査では、糖平山蛇紋岩体の南縁に、蛇紋岩化作用の影響を受けた可能性がある特異な組成をもつ緑色岩(変成岩)が広範囲に分布することが明らかになった。緑色岩は、海底火山活動によって形成されたもので、枕状溶岩、火砕岩が層状に分布している。現段階では緑色岩と蛇紋岩との関係は不明であるため、今後、緑色岩の組成、鉱物組合せを解析し、その起源、形成条件を明らかにする予定である。 母体変成岩類およびその北部に分布する宮守超苦鉄敷く岩体は、異地性岩体と考えられている南部北上山地の縫合部にあたり、プレート境界における蛇紋岩の挙動について有意な情報を与えてくれる。そのため岩手県奥州市に広く分布する母体変成岩類について調査を行い、蛇紋岩体と付随する角閃岩、変成岩類の産状の調査を行ってそれらの産状を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北海道神居古潭帯において、予定通り調査を実施し、蛇紋岩メランジュ体の南縁に、特異な緑色岩類が分布することを明らかにした。また、岩手県母体変成岩類について、現在の視点から蛇紋岩類と変成岩類の関係の調査を開始し、ほぼ予定に沿って研究が進められている。マリアナ前弧の蛇紋岩海山の変成岩類については、着実に解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
マリアナ前弧の蛇紋岩海山の変成岩類については、今後、その形成条件、給源の解析を進めていく。そのために構成鉱物の組成解析、全岩組成解析を継続して行う予定で、最終的にマリアナ前弧全域の高圧変成岩類の総括につなげていく。北海道神居古潭帯において、蛇紋岩メランジュ体の南縁に広く分布する緑色岩の起源を明らかにするため集中的に調査を行い、蛇紋岩メランジュとの関係、神居古潭帯における位置づけを明らかにし、その成因について、マリアナ前弧蛇紋岩海山群との比較を行う。
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