研究課題/領域番号 |
25400520
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
前川 寛和 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50173696)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マリアナ前弧 / 低温高圧型変成作用 / 蛇紋岩 / トレモライト岩 / プレート沈み込み帯 |
研究実績の概要 |
大阪府立大学地域連携機構に新たに導入されたEPMA(JEOL JXA-8530F)について、ケイ酸塩鉱物の分析ができるように整備し、マリアナ前弧北部に位置する風神海山、雷神海山の蛇紋岩類の分析を行った。これにより、従来測定することのできなかったかんらん石、スピネル、蛇紋石鉱物の微量元素の分析が可能となった。風神海山、雷神海山の蛇紋岩類は、ハルツバージャイトが主体をなし、そのスピネル組成、構成鉱物種から、著しく枯渇したかんらん岩起源であることが分かった。 淡路島南端部にある南あわじ市沼島のトレモライト岩について,再検討を行った。このトレモライト岩は蛇紋岩の交代作用により生じたもので、緑泥石に富む反応帯にモナザイトが認められる。CHIME法により交代作用の時期を特定するために、モナザイトを多く含む試料を選び出した。トレモラ閃石岩は、マリアナ前弧南チャモロ海山から回収された青色角閃石岩およびトレモラ閃石岩と同様の成因をもつと考えられることから、沼島のトレモラ閃石岩の成因を解明することで、沈み込み帯境界部の交代作用について総括的な議論を行う準備が整いつつある。 三内丸山遺跡出土の緑色磨製石斧の原石であることが明らかとなった北海道沙流郡平取町額平川流域のアオトラ石が、ピクライトと玄武岩の交代作用によって形成された可能性が確実となった。従来、アオトラ石はCr, Niに富むことから蛇紋岩塊中の捕獲岩と考えられてきたが、蛇紋岩ではなくピクライトが関与したことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
EPMA(JEOL840A+Oxford ISIS)が老朽化により、使えなくなった。そのため、新たに大学に設置されたEPMA(JEOL JXA-8530F)でケイ酸塩鉱物が分析できるようにするために多くの時間を使い、研究は遅れ気味である。幸い、分析のルーチン化が完成したので、近々遅れは取り戻せる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
マリアナ前弧の蛇紋岩海山のかんらん岩、変成岩類について、今後、その形成条件、給源の解析をより詳細に求めていく。最終的に、マリアナ前弧全域におけるかんらん岩類、高圧変成岩類の総括に繋げていく。三波川変成帯、神居古潭変成帯等、陸上の高圧変成帯からえられる情報を結びつけ、それらの地質学的な位置づけを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年11月、研究課題に必須の鉱物の元素分析を行う分析装置(JEOL JSM840+Oxford ISIS)が故障し、研究が進められなくなった。現在、学内の代替装置(JEOL JXA-8530F)で研究を再開している。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果公表のための、研究打合せ、英文校正、印刷費等に使用する。
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