マリアナ前弧域には、マントル由来の蛇紋岩化したかんらん岩からなる蛇紋岩海山が数多く分布する。構成する蛇紋岩類は、蛇紋石鉱物の低温相(リザダイト/クリソタイル)が形成された後で高温相(アンティゴライト)がかんらん石およびディオプサイドと共に形成され、さらにその後、再び蛇紋石鉱物の低温相が安定になるという温度履歴を持つ。一方、海山に捕獲岩として含まれる苦鉄質岩類は、その変成鉱物の共生関係と鉱物組織から,地下深部にもちこまれエクロジャイト相程度の変成作用を受けた後に藍閃石片岩相の低温部に相当する変成作用を受けている。両者の熱履歴は調和的で,沈み込み帯内部での岩石類の移動を反映したものと考えられる。
|