研究課題
スラブから流体がマグマを介さず直接地表に上昇しているのではないかという可能性について,従来,非火山域の有馬型温泉水の主要溶存元素化学組成や軽元素同位体組成を用いた検証がなされてきたが,本研究では,スラブの検出の有効性が火山岩で実証されている重元素を用いて制約することを目指し,有馬温泉水中に含まれる低含有量の重元素の濃縮と抽出の試験的実験から開始した.その結果,温泉水のSr-Nd-Pb同位体比組成を得ることに初めて成功し,有馬温泉水の起源がフィリピン海スラブにあることを明らかにした(Nakamura et al., 2014).また,元素吸着フィルタの有効性を検証することで,化学分析前処理を迅速にすることに繋がった.一方,希土類元素(REEs)の濃度やパターンが上昇過程と成因を探る指標として有効であることが分かり(Nakamura et al., 2015),最終年度(平成27年度)は,温泉水中のREE定量分析を集中的に行い,火山岩から検出されているスラブ起源流体のREEパターンと比較しつつ,REEsの理論的挙動に基づいた統計解析を行った(Nakamura et al., 2016).関連する内容は学会において公表し,有益な議論やアドバイスを得ることができた.これらにより,本研究は一定の成果を上げたと考えている.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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