研究課題/領域番号 |
25400527
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
新正 裕尚 東京経済大学, 経営学部, 教授 (60312013)
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研究分担者 |
折橋 裕二 東京大学, 地震研究所, 助教 (70313046)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中新世 / 西南日本弧 / 火成岩 / スラブ融解 / ジルコン / ウラン・鉛年代 / ICP-MS |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、研究代表者と研究分担者共同で西南日本弧海溝寄り地域の中新世火成岩類の野外調査と試料採取を行った。前年度までに採取した試料と合わせて、岩石記載と全岩化学分析を進め、それらのデータに基づき選別した試料について東京大学地震研究所設置のレーザーアブレーションICP質量分析計を用いて、ジルコンのウラン鉛年代測定を行っている。 ジルコンのウラン・鉛年代測定の結果得られた知見は次の通りである。 (1)九州東部の大野火山岩類、四国西北部の松山周辺、紀伊半島の二上層群など瀬戸内火山岩類の主要メンバーのジルコンのウラン・鉛年代はほぼ15.1 ~14.2 Maの範囲に入り、明確な島弧伸長方向の年代変化は見られない。 (2)芸予諸島に分布する「瀬戸内火山岩」の中には200万年ほど若いジルコンのウラン・鉛年代を示すものがあり、その帰属について検討を要する。 (3)島弧横断方向のマグマ活動の年代変化を見る目的で、紀伊半島外帯の大規模珪長質火成岩体である熊野酸性岩について、最初期の流紋岩溶岩、最後期の貫入岩についてジルコンのウラン・鉛年代を測定したが、いずれも瀬戸内火山岩類の主要メンバーの年代範囲に入り、予察的には明確な島弧横断方向の年代変化も見出されない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年代測定については、中部地方の設楽地域のみ、野外調査・試料採取未達であるが、それ以外の地域については、試料採取と年代測定をほぼ終えており、瀬戸内火山岩類の島弧横断方向の年代変化はほぼおさえることができた。したがって研究目的の一つについては順調に推移している。 しかし、包有物観察などのジルコン粒子の微小領域分析については着手できておらず、その面について当初計画より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ICP質量分析計を用いたジルコンウラン・鉛放射年代測定については試料収集を含めて順調に進んでいる。未採取の設楽地域の瀬戸内火山岩のみ速やかに試料採取を進める。そして引き続き残存試料の分析を進め、設楽、紀伊半島、四国、東九州など幾つかの地域に区分して年代の意義を解釈した論文を学術雑誌に投稿する。さらにそれらをとりまとめた西南日本海溝寄り地域全体の年代論については、今夏の国際学会で発表予定である。 ジルコンおよびその包有物に関する微小領域分析への取り組みが遅れているので、比較的試料数の稼げる、ジルコン包有物の顕微ラマン分析による鉱物相同定をはじめとして、今年度の半ば以降はそれらを中心に研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で予定していた野外調査が予定どおり行えなかったため、旅費を中心に残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度追加で行う野外調査、および成果発表のための国内外学会出張等の旅費として主に使用する。また、ジルコン分離等の試料調整についての業務委託にも今年度多くを支出する予定である。
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