研究課題
核融合炉を目指した高温プラズマ中において、自発励起アルベン波動と粒子との相互作用の解明は、系外へのエネルギー異常輸送等の観点から重要な課題である。本研究課題では、ミラー磁場配位においてイオンサイクロトロン周波数帯(ICRF)高周波加熱により、磁力線に対して直角方向に入射されるエネルギーがプラズマ中に自発励起されるアルベンイオンサイクロトロン(AIC)波動との相互作用の結果、イオンのピッチ角散乱で開放端部へ輸送される過程の解明を目的としている。磁力線方向へのエネルギー輸送は、開放端磁場配位を活用したダイバータ模擬実験やICRF波動を用いたプラズマ推進等において、その制御の観点からも重要である。平成26年度までに増設した複数のマイクロ波反射計ホーンアンテナを用いた計測に関して、アンテナを含む計測器の改良・調整を進展させて、当該高周波帯においてもヘテロダインシステムによる位相分離を可能とした。さらに、AIC波動や加熱に用いるICRF波動に伴う密度揺動信号にバイスペクトル解析を適用し、三波結合強度を評価し、GAMMA10プラズマ中で観測されていた駆動源が明らかでない揺動成分が、AIC波動や加熱ICRF波動との間の非線形結合で励起されていることを確認した。また、AIC波動間の差周波波動を励起する結合に興味深い径方向依存性が見出され、内部領域において顕著に励起されていることが明らかになった。さらに周辺領域では、100 kHz以下の広い低周波数帯にわたり強い非線形結合が生じており、乱流との相互作用によりスペクトルのピーク幅が広げられている可能性が示唆され、新しい知見を得ることができた。開発した反射計を用いて有意な波動構造計測ができるところまで進展し、波動の非線形結合によって励起された低周波数波動がイオンの磁力線方向の輸送を駆動することが明らかとなった。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件)
Phys. Plasmas
巻: 22 ページ: 90701
10.1063/1.4930216