研究課題/領域番号 |
25400533
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
文 宗鉉 静岡大学, 工学研究科, 助教 (30514947)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 基礎・放電プラズマ / MEMS / 高気圧プラズマ / 微小突起アレイ陰極 / 紫外光 |
研究実績の概要 |
本研究は,均一性に優れた先鋭なμmからnmサイズの構造作製が容易なマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)技術の一種, 転写モールド法を用いることで, 数百から数kVoltの高電圧印加による突起の破壊にならない高硬度・高化学安定性のあるアモルファスカーボン等の材料からなり,微小突起アレイを作製し, 突起アレイ型誘電体バリア放電による面生成プラズマ源の実現を目指す。 まず,シリコン単結晶基板を異方性エッチング処理することで,基底部長さ370nmから110nmの鋳型を作製した。このようにして作製したシリコン鋳型上に高融点・高硬度材料であるアモルファスカーボンを形成し,保持基板を接着した後,シリコン鋳型を溶解除去した。そこで,アモルファスカーボン膜は保護層として働き,また,誘電体バリア放電に必要な微小突起陰極上誘電体層としての役割を担っている。以上の処理により,基底部長さ370nm~110nm、先端曲率半径2.9-3.8nmの先鋭性に優れ転写モールド法微小突起陰極アレイプラズマ源の試作が成功した。 次に,この陰極と対向する位置にモリブデン製メッシュ陽極を配置し,2kPaの高気圧アルゴンガス雰囲気中で誘電体バリア放電によるプラズマの生成を行った。陽極-陰極間に2 kHz,300 Vの電圧を印加した結果,電極間に均一にプラズマが生成された。更に,基底部長さを110nmまで微小化した転写モールド法微小突起陰極アレイプラズマ源の放電開始電圧は前年度の179.4Vから166.6Vとなり,微小化により先端先鋭性が向上し,電界集中係数が増加したため,より低くなった。既存の誘電体バリア放電などの0.5-2.1kVと比較して,転写モールド法微小突起陰極アレイプラズマ源の放電開始電圧は,低い良好な値である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
均一性に優れた先鋭なμmからnmサイズの構造作製が容易なマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)技術の一種, 転写モールド法を用いることで,今年度の目標値の基底部長さ600nmより微小な基底部長さ110nm、先端曲率半径2.9nmの先鋭性に優れ転写モールド法微小突起陰極アレイプラズマ源の試作が成功した。 転写モールド法微小突起陰極アレイプラズマ源の放電開始電圧は166.6-179.4Vとなり,微小化により先端先鋭性が向上し,電界集中係数が増加したため、より低くなった。既存の誘電体バリア放電などの0.5-2.1kVと比較して,転写モールド法微小突起陰極アレイプラズマ源の放電開始電圧は,低い良好な値である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度研究を更に進め,転写モールド法を用いて, 平成27年度研究は,基底部長さ100nmから50nmまでのSi鋳型及び被覆型の微小突起アレイプラズマ源を開発する。更に,電界の集中による放電開始電圧の低減を図り, 微小突起陰極アレイ上に開口陽極を形成し, 陰極・陽極一体型突起アレイプラズマ源の作製技術を検討する。 陰極材料として高硬度・高化学安定性なアモルファスカーボン等を候補とする。アモルファスカーボン薄膜は,プラズマCVD 法により,基板印加電圧を変更して,アモルファスカーボンを試作する。平板基板での予備実験の後,結果をフィードバックして最適条件の電極材料を探る。更に,高気圧プラズマ源としての寸法最適化を目指し,絶縁体スペーサおよび微小突起サイズを変化させ,放電開始電圧が最も低くなる最適構造を探る。絶縁体スペーサの厚さを変えて,放電開始電圧が最低になる電極間距離を探る。微小突起陰極アレイの形状最適化を進めると共に,プラズマ生成用電極における微小突起が放電開始電圧や放電維持電圧に及ぼす効果についても明らかにする。
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