宇宙創成の動的発展プロセスを探るうえで重要な物質―反物質プラズマの研究はその寿命が短く実験室では無理とされたが、安定なイオン対プラズマの作成が可能となり、実験室でその物理特性の研究が進められるようになった。その中の波動実験で計測された分散特性は10年以上にわたって理論的解明の試みを退けてきた。これは、イオンの磁場による回転運動の半径とプラズマの半径が同程度であることを無視した理論枠組みに依っていた為であることを明らかにし、統計力学的運動論による定式化を行い、実験データとよく一致する結果を得た。さらに磁気粘性項を持つ流体理論からも基底波については同様の分散関係式が得られることを示した。
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