結晶周囲の環境である湿度や有機蒸気に応じて結晶が相転移し、色調変化を示すベイポクロミズム有機結晶の原理を明らかにし、さらに効率的に色変化を示す有機結晶を設計した。 キノロン系抗生物質ピペミド酸三水和物結晶はアセトニトリル蒸気・水蒸気適用により、結晶相脱水和・水和を起こし、無水和物結晶・三水和物結晶に可逆的に転移する。この際に無色から黄色への色調変化をベイポクロミズムとして示す。粉末未知結晶構造解析法を駆使した結晶構造解析の結果、分子間水素結合の変化を引き金とする分子内プロトン転移が起こり、分子軌道のエネルギーレベルが変化して色調変化を引き起こすメカニズムが明らかとなった。
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