本研究では、光合成反応のうちで最大の謎とされる水分解→酸素発生反応の分子メカニズムの解明を目的に、水分解触媒として機能するマンガンクラスターの酸化還元電位の計測に取り組んだ。フーリエ変換赤外差スペクトル法を分光電気化学法に適用した計測系を新たに構築して実測をを行った。その結果、S0S1遷移のEmはこれまでの予想に反して+200 mVよりも低いことを明らかにした。またこの測定に付随して、これまで実測例がなかった第二キノン電子受容体QBのEmを初めて計測するに至り、第一還元電位は+93 mV、第二電位は+213 mVと決定した。これによりQAとの電位相関が明らかになり、電子伝達機構を解明した。
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