我々がこれまでに開発・拡張を行ってきた量子化学理論と液体の統計力学理論を基軸に、溶媒和による電子状態の変化やそれによって引き起こされる過程を、化学反応、光過程、輸送過程などを対象として解析してきた。より具体的には、水中のアニリンのイオン化に伴う電子状態変化、メロシアニン色素分子のソルバトクロミズム、イオン液体となるフェロセン類縁体分子の溶媒和、PYP発色団モデル分子の光吸収と水和などを取り上げて、その詳細を分子レベルで明らかにしてきた。またこれらと並行して、溶液内分子の構造とダイナミックスの理論の拡充を企図し、溶液内分子の構造揺らぎ理論や拡散律速反応の理論など種々の分子理論の開発にも成功した。
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