研究課題/領域番号 |
25410021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 紀生 九州大学, 高等研究院, 准教授 (10390650)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | DNA / 電子移動 / フラグメント分子軌道法 / 3D-RISM理論 / 線形応答理論 / 構造揺らぎ |
研究概要 |
本年度は,DNAの構造揺らぎにおける溶媒効果の線形応答理論の定式化,およびプログラムコード開発,またフラグメント分子軌道法と3次元RISM理論の連成手法(FMO/3D-RISM)の定式化・プログラムコード開発を行った。 このうち,FMO/3D-RISMに関しては効率的な計算手法の提案・開発を行った。FMO/3D-RISM法ではFMO計算と3D-RISM計算を交互に行う。これらを互いに自己無撞着になるまで計算することで,DNA(あるいはタンパク質)の全電子状態とその周りの溶媒分布を同時に決定する事ができる。この反復計算において律速となるのが溶質(DNAなど)がつくる静電ポテンシャルの見積である。FMO/3D-RISMでは静電ポテンシャルを3D-RISMの計算グリッド(通常256の3乗個程度)上で行う必要がある。今回提案した手法では空間を溶質からの距離に応じて分割し,近距離では精度維持のため通常の1電子積分を行い,遠距離では多重極子による近似法を用いることで,高効率・高精度な計算を可能にした。 上記の研究は現在論文としてまとめられ国際査読誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通りの理論の定式化,およびプログラムコードの開発が順調に行われている。そのうち一つに関してはすでに開発を終了し論文を投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
線形応答理論と3D-RISMを融合した理論のプログラム開発をつづけ,完成させる。 また,これまでに開発したFMO/3D-RISMにLCMOを導入した手法の定式化およびプログラム開発を行う。 このFMO/LCMO/3D-RISMを用いてDNAのプロトタイプ分子に対して応用を行い,電子移動における溶媒効果に関する研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費に関しては当初予定していた計算機よりも,本研究遂行に当たってより効率の良い仕様のものが発売され,使用を変更し購入したことで金額が変更になったため。 旅費に関しては参加を想定していた国際学会日程と学内行事が重なり参加できなかったため。 前年度に圧縮した物品費を本年度予算と合わせることで高性能な計算機を追加し,研究の効率化を図る。 また,前年度に参加できなかった学会の代替として同様の規模・参加者の学会への参加・研究発表を行う。
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