タンパク質は,水系でその構造を安定化させているので,タンパク質の構造安定性にとって,周りの水和構造は極めて重要である.水和構造形成の主要な駆動力である水素結合は,系が持つ熱エネルギーによって,頻繁に解離と生成を繰り返していると思われる.よって,タンパク質の折れ畳みを理解するには,周囲を取り囲む水和構造の生成と崩壊,及びそれに伴う水和構造の組み替えまで考慮に入れる必要がある.本研究では,水和数を1分子レベルで精密に制御した生体関連分子の水和クラスターを真空中に生成し,このクラスターにレーザー多重共鳴分光法を適用することで,水和構造の動的な組み換えや揺らぎの関する知見を得た.
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