研究課題
本研究は、溶液中のタンパク質の体積的寄与を、全原子モデルを用いた分子動力学シミュレーションによって理論的に調査することで、高水圧がタンパク質機能に与える影響などを分子レベルで明らかにする事を目的としている。一方で、水圧が到達する最終的な場である細胞質はタンパク質や核酸などの生体分子が高濃度で共存している分子混雑環境である。本研究はこのような細胞質内の物理化学的環境と、その圧力応答を調査するという側面も持ち合わせている。本年度は、前年度から開発を続けている分子の幾何学的解析プログラムの開発が終了し、所属するグループが開発中の超並列分子動力学ソフトウェアGENESISの解析モジュール「SPANA」として公開準備中である。MDシミュレーションについては、前年度から継続していた小型タンパク質による分子混雑系(細胞質内のように生体高分子が高濃度で混み合っている系)の解析が終了した。ここでは、タンパク質のサイズと水和層体積(タンパク質周囲に形成される水和層の体積)との関係を明らかにし物理化学系専門誌に発表された。また、本研究課題と連携して進められていた大規模細胞質モデルの分子ダイナミクスについても生命科学系専門誌などに発表した。ここで得られる大規模な分子座標データ解析の一部に、本課題で開発したSPANAが使用された。一方で、複数の酵素タンパク質を含む細胞質モデルに高圧を付加したMDシミュレーションについては現在実行中である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
Chemical Physics Letters
巻: 671 ページ: 63-70
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分子シミュレーション研究会誌「アンサンブル」
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eLife
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