研究課題
本研究の目的は,「大気エアロゾル粒子の構造決定手法の確立」にある。具体的には気体電子回折の手法を用い,エアロゾルの粒径をコントトールして作り出すためのノズルの開発と実験装置の改良を行う。さらに効率の良いデータ解析手法の開発も目指す。この装置を応用することによって超分子やクラスターを対象とした,気体電子回折の新しい研究手法の確立を目指す。気体電子回折はマイクロ波分光法と並び,気体状態の精密な分子構造を研究する有力な実験手法である。真空装置内で気体分子が高速電子(40-60 kV)と弾性散乱することによって回折像が得られ,それを解析することによって,原子間距離を0.1 pmのオーダーで直接的に決定できるという,高い実験精度をもつ。しかし原子数の多い超分子,クラスターに関してはまた報告例が少なく,実験およびデータ解析を進めるにあたって問題点があった。このような現状を打破し,気体電子回折法がもっている特徴を生かした上で,様々なタイプの実験を行うことを可能とするため,本研究ではクラスターやエアロゾルを効率よく生成するためのエアロダイナミック・レンズ(Aerodynamic Lens)を設計・製作し,真空装置内に取り付けた。試料ガスは真空ラインを通じてエアロダイナミック・レンズに導入する仕様とした。同時に実験装置全体のコンパクト化を図るため,試料導入部について,簡便にセッティングが変更できるようにしたうえで,排気系を設計し直し,テーブルトップの実験装置を開発した。また多種多様な分子の回折データに対応するため,データ解析プログラムの一部を新たに開発した。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Structural Chemistry
巻: 26 ページ: 1241-1257
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Journal of Physics B: Atomic, Molecular and Optical Physics
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