本研究では,水素分子2電子励起状態ダイナミックスの詳細を明らかにする目的で,(i)分子回転制御のためオルソーパラ水素変換器を自作し,(ii)分子回転を制御したうえで2電子励起状態を経由した光解離H(2p)生成断面積を測定した.(i)については液体ヘリウムと磁性体触媒による変換器の製作に成功し,高分解能光イオン収量スペクトルの測定を通し,ほぼ100%の変換効率であると見積もった.(ii)については始状態の回転準位J"=2からのH(2p)生成断面積はJ"=0のそれにくらべて約0.8倍の大きさであることを明らかにした.
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