研究課題
金属酵素反応の反応機構解析の研究において異なる複数の反応経路や中間体モデルが提示された時に、それぞれの候補の構造モデルを仮定した精密な波動関数から分光スペクトルを計算により求め実際のスペクトルと比較することにより真の中間体構造を同定する理論的手法の開発に取り組んだ。H27年度は今までに開発した手法を用いて以下の研究を行った。光合成マンガンクラスタのEPR活性な状態における超微細構造定数を計算した。精度の検証として同じくマンガン原子に酸素原子が直接配位した[Mn(H2O)6]2+やMnOの単核の分子にて完全活性空間のサイズや基底関数を様々変えて実験値と詳細な比較を行った。その結果、活性空間に二重殻4d軌道や内殻軌道を加えることで超微細構造定数の値はより実験値に近づくものの高角運動量の仮想軌道との電子相関の効果など更に精度の検討を要することがわかった。またスピン状態のエネルギーの同定について光合成マンガンクラスタにおいて最新のX線結晶構造を元にした分子構造にて非経験的密度行列繰り込み群多配置無撞着場理論を用いた計算を行い、以前のX線構造モデルとは異なり適切なマンガン酸化状態とスピン状態を与える構造モデルになっていることが分かり、新たなX線構造モデルの妥当性が確認できた。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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