本研究では、外周部に縮環構造を有する複数のポルフィリン誘導体の合成を行い、その酸化還元挙動などを検討した。ケト基で連結した4つの縮環構造を有するポルフィリン誘導体では、キノン型とヒドロキノン型の間で可逆な酸化還元過程が見られた。また外周部に四つの五員環縮環構造を有するポルフィリン誘導体の亜鉛錯体(Zn(II)-QFP)のお椀型の歪みを利用して、フラーレン類との会合挙動を検討したところ、溶液中でも高い会合定数で会合することが示された。さらにQFPのコバルト(II)錯体では、軸配位子をTHFからピリジンに交換した際に、ポルフィリンとコバルト中心の間で分子内電子移動が進行することが分かった。
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