• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実績報告書

カチオンーπ相互作用に基づく分子天秤の創成

研究課題

研究課題/領域番号 25410037
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

山田 眞二  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30183122)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード分子天秤 / 相互作用エネルギー / エンタルピー / エントロピー / 溶媒効果
研究実績の概要

昨年度は、溶媒および対アニオンのΔGに及ぼす影響を明らかにした。今年度は、温度可変による熱力学的パラメーター、ΔHおよびΔSを求めた。さらに、ピリジン環に種々の置換基を導入し、置換基のΔGに及ぼす影響を明らかにした。
まず、種々の重溶媒を用いて温度可変1HNMR測定を行い、メチレン基のカップリング定数からAおよびB二つの配座の存在率を決定しΔGを求めた。ΔGと温度とのvan’t Hoffプロットから、ΔHおよびΔSを求めた。その結果、極性溶媒中では、ΔHが小さいのに対し、非極性溶媒中では大きな値となった。このことから、ΔGの溶媒効果の原因が、ΔHに依存していることを明らかにした。また、対アニオンの違いは非極性溶媒中ではΔH およびΔSに影響を与えたが、極性溶媒中では影響が小さいことがわかった。
ピリジン環上の置換基は、ピリジン環の電子密度にそれぞれ異なる影響を与えるため、配座間の平衡に大きな影響を与えるものと考えられる。そこで、置換基を有する誘導体を3種合成した。無置換体の分子天秤を基に、N-オキシド体を合成し、4―位を塩素化することで4-クロロ体を合成した。さらに、これをジメチルアミノ化することで4-ジメチルアミノ誘導体を合成した。これらの誘導体のΔGを求めた結果、大きく異なる値となることが明らかになった。電子吸引基は相互作用エネルギー(ΔG)を大きくする一方、電子供与基はΔGを小さくすることがわかった。これはカチオン-π相互作用が、静電相互作用が主たる相互作用であることと一致する。また、N-オキシド体は分子全体に電荷を持たないため、ΔGが小さくなったと考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] A Molecular Seesaw Balance: Evaluation of Solvent and Counteranion Effects on Pyridinium-π Interactions2015

    • 著者名/発表者名
      Shinji Yamada, Natsuo Yamamoto, and Eri Takamori
    • 雑誌名

      Organic Letters

      巻: 17 ページ: 4862-4865

    • DOI

      DOI: 10.1021/acs.orglett.5b02420

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] シーソー型分子天秤によるカチオン‐π相互作用の評価 : 対アニオンと置換基の影響2016

    • 著者名/発表者名
      山本夏生・山田眞二
    • 学会等名
      日本化学会第96春期年会
    • 発表場所
      同志社大学田辺キャンパス
    • 年月日
      2016-03-24 – 2016-03-27
    • 国際学会
  • [学会発表] Synthesis of Molecular Seesaw Balance and Its Application to a Molecular Switch2016

    • 著者名/発表者名
      Natsuo Yamamoto・Shinji Yamada
    • 学会等名
      CEMS International Symposium on Supramolecular Chemmistry and Functional Materials 2016
    • 発表場所
      東京大学伊藤記念ホール
    • 年月日
      2016-01-13 – 2016-01-14
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi