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2014 年度 実施状況報告書

ジエン-鉄錯体からビニルケテン-鉄錯体の合成とその反応の研究

研究課題

研究課題/領域番号 25410047
研究機関九州工業大学

研究代表者

岡内 辰夫  九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60274552)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードビニルケテン-鉄錯体 / 有機鉄化合物 / アルキン / フェノール
研究実績の概要

昨年度,合成法を確立したフェニルメチル基を有するビニルケテン-鉄錯体に対し,種々のアセチレンを反応させたところ,比較的良好な収率でフェノール化合物が生成することを見いだした。
これまでに,ビニルケテン-鉄錯体はアルキニルエーテル等の電子供与基を有するアセチレン類と反応しフェノールが得られることが知られている。しかしながら,アルキル基で置換されたアルキンやフェニル基で置換されたアルキンを用いた場合にはフェノール類は得られないことが報告されている。
一方,我々の手法により合成したビニルケテン-鉄錯体はアルキル基で置換されたアルキンやフェニル基で置換されたアルキンと速やかに反応する。これは,鉄錯体が有するフェニルメチル基の影響が反応に与える影響が大きいことを意味する。すなわち,フェニルメチル基のパイ電子の配位が,反応中間に生成する配位不飽和の有機鉄中間体を安定化することで,反応が促進されていると考えられる。
以上,述べた通り,我々の手法により合成することができるようになった,フェニルメチル基を有するビニルケテン-鉄錯体はアルキンと反応することで,新規の多置換フェノール類の合成の出発物質として利用できることを見いだした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は,ルイス酸存在下でのジエンー鉄錯体からのビニルケテン-鉄錯体の合成反応の開発とビニルケテンー鉄錯体を利用した新しい合成反応の開発である。
本年度は目的通り,ビニルケテン-鉄錯体を利用した多置換フェノールの合成法を確立することができた。用いることができるアルキン類の適用限界についても明らかにすることができた。
ここで開発した方法は,従来の方法とは異なり,我々の手法で導入されるフェニルメチル基がジエンー鉄錯体の反応の促進に関与しているユニークな例である。

今後の研究の推進方策

昨年度に引き続き,ビニルケテンー鉄錯体を利用した新しい合成反応の開発を行う。具体的には,ビニルケテン-鉄錯体より容易に合成できるビニルケテンイミンー鉄錯体を用いた反応の開発を行う。
ビニルケテンイミンー鉄錯体は,その合成法は知られているものの,反応性については,ほとんど報告されていない。そこで,これを用いた新規合成反応の開発は,鉄錯体化学の分野に新たな利用価値を加えるという意味で,意義が大きい。
まずは,ビニルケテンイミンー鉄錯体とアルキンとの反応によるアニリン誘導体の合成など,芳香族化合物,複素芳香族化合物の合成への活用を考えている。開発に成功すれば,ビニルチオケテンー鉄錯体等のこれまで合成例のない鉄錯体の合成へと研究を広げてゆく予定である。

次年度使用額が生じた理由

残金が千円以下となってしまったため,試薬購入等の充てることができなかった。

次年度使用額の使用計画

繰り越した研究費を,ガラス反応容器や,貴重薬品の購入に充てることで,より効率よく当初計画を達成することに注力する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Unprecedented formation of η4-(vinylketene)iron complexes from η4-(diene)iron complexes and aromatic compounds in the presence of a Lewis acid2015

    • 著者名/発表者名
      Tatsuo Okauchi, Naoki Sata, Akihiro Urakawa and Mitsuru Kitamura
    • 雑誌名

      Chemical Communications

      巻: 51 ページ: 8454-8456

    • DOI

      10.1039/C5CC00870K

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ビニルケテンイミン-鉄錯体を用いた新規合成反応の開発2015

    • 著者名/発表者名
      浦川晃洋,佐多直城,北村 充,岡内辰夫
    • 学会等名
      日本化学会 第95春季年会
    • 発表場所
      日本大学 理工学部船橋キャンパス
    • 年月日
      2015-03-26

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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