研究課題/領域番号 |
25410052
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
小林 潤司 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (90334242)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エチニレン / 蛍光色素 / ドナー・アクセプター |
研究実績の概要 |
本研究課題の主目的はアセチレンで連結されたドナー・アクセプター色素の合成と、モジュラー合成への適用であるが、これまでにアクセプター部位となる物質の合成とそれを用いたドナー・アクセプター色素の合成を行った。また、ドナー部位として、N-シリルエチニルカルバゾールの合成を行った。文献に従ってエチニルカルバゾールを合成したところ、空気中室温でやや不安定であり、溶液状態では徐々に分解していくことが明らかとなった。分解生成物は未同定であるが、空気酸化により分解していったものと推察される。そこで、末端アセチレンの保護のためにシリル基を導入することとした。シリル基として、トリメチルシリル基を導入することとした。in situで発生させた、エチニルカルバゾールのアニオンに対し、クロロトリメチルシランを作用させたところ、目的通り、トリメチルシリルエチニルカルバゾールの合成に成功した。トリメチルシリル保護を施していない、エチニルカルバゾールに比べ、安定性が向上し、光学的性質を明らかにすることが出来た。このN-シリルエチニルカルバゾールの蛍光スペクトルでは、エキシマー発光とみられる発光が観測された。ケイ素上の置換基をかさ高くすることでエキシマー発光が押さえられたことから、この発光がエキシマー由来であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
N-シリルエチニルカルバゾールの蛍光スペクトルを観測したところ、通常のモノマー発光に加えて、長波長側にエキシマー発光が観測された。このエキシマー発光については当初予期しない性質であり、これを精査するために時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
N-シリルエチニルカルバゾールで観測されたエキシマー発光により、本物質が白色蛍光体として機能することが示唆された。このような単純な骨格を有する有機化合物を基本として、白色有機ELが達成されれば、大きな成果となるため、本物質の白色蛍光体としての挙動について、より詳細に検討を行う。骨格修飾を行う事で、蛍光波長のチューニングを行い、より純粋な白色発光を達成できるように検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述の通り、本研究課題の推進途中において、発見された物質が新たな機能を持つことがわかり、この機能について、より詳細な検討を行う。
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次年度使用額の使用計画 |
当該物質の誘導体を種々作成し、様々は発光波長を示す化合物を合成する。具体的には有機合成に関わる試薬代などの消耗品費として使用する。
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