分子内での含金属環化反応は,補酵素NADHのような有機ヒドリド化学の発展に寄与する。本研究では,カルボニル及びナフチリジン誘導体(pynpまたはpaa)の両方を含むルテニウム錯体系を創成した。両錯体の酸化還元特性を検討した後,pynp錯体の化学的還元反応を行った。その結果,従来の金属ヒドリドに加え,含金属環化反応に基づく有機ヒドリドが形成した。一方,対応するpaa錯体では同一分子内に金属ヒドリドと有機ヒドリドを含む“ハイブリッド”ヒドリド化合物が生成した。このハイブリッド・ヒドリド錯体から有機基質へのヒドリド移動を確認した。
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