金属イオンは金属の単体を酸化することで得られることが知られている。例えば、銅の単体を酸化すると青色の銅(II)イオンが生成する。銅イオンの最も高い酸化状態は、一般に+IV状態であると考えられている。しかし、高原子価状態を有する金属錯体の生成は、一般的にそれらの不安定性のために非常に困難であり、最も高い酸化状態である金属錯体の詳細な性質はまだ不明である。本研究課題では、最高酸化数と考えられる金属錯体、特にジ(フェノラート)配位基を有するサレン配位子をもちいた銅(IV)およびニッケル(IV)の等価体について、それらの詳細な電子構造の決定の試みを行った。
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