研究課題/領域番号 |
25410064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
野崎 浩一 富山大学, 理工学研究部, 教授 (20212128)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リン光 / 熱失活 / 圧力効果 / 活性化体積 / dd状態 / 白金錯体 |
研究概要 |
光エネルギー変換や光触媒反応に遷移金属錯体を用いる際、リン光状態の熱失活過程の制御が重要な課題となっているが、熱失活過程における中間体の分子構造変化についての知見は少ない。本研究では、室温で熱失活が起きる、ターピリジルPt(II)錯体やシクロメタレートPt(II)錯体における熱失活経路について、DFT計算による反応経路探査と、実測の活性化エネルギーや活性化体積に基づき検討した。また、剛性マトリクスに分散することによる熱失活の抑制効果について検討した。 シクロメタレートPt(II)錯体における熱失活過程は正の活性化体積を有し、結合長が伸びた遷移状態を経由することが明らかになった。DFT計算による反応経路探査から、これらの錯体のdd状態は四配位シーソー型構造をとり、リン光状態からdd状態に遷移する際に、Pt-配位子間の結合が伸びながら、エネルギー的に近接する基底状態へ速やかに失活することが明らかになった。DFT構造に基づく活性化体積の計算値は、正の活性化体積の実験値を再現することができた。ターピリジルPt(II)錯体については発光寿命に大きな溶媒効果が見られた。失活過程の活性化体積は負であり、熱失活がdd状態を経由せず、溶媒との会合状態を経由して起こることを示唆している。現在、DFT計算による反応経路を探索している。さらに、これらの白金錯体をPMMAなどのポリマー中に分散させ圧力を掛けると、リン光寿命が著しく長くなった。これは剛性効果によって構造変化が抑えられ、熱失活過程が大きく抑制されたためと考えられる。 また、室温で発光させることが難しいPd(II)錯体について、dd状態のエネルギーを高くできる配位子をもつ錯体を合成した。この錯体をポリマー中に分散させると、室温で弱いリン光を観測できた。現在、光物性や熱失活について検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Pt(II)錯体について、反応経路の計算化学的検討において、単分子的な熱失活過程は確定できたが、溶媒分子が関与した2分子的な失活過程について計算化学的経路探査に予想以上の時間が掛かっているため。
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今後の研究の推進方策 |
現在行っているDFT計算に基づく反抗経路探査法は、単分子には対応できるが、分子間反応過程には不向きであるので、MDなどを取り入れた計算手法を検討する。
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