本研究では、核酸塩基に由来する高選択的な分子またはイオン認識能と、遷移金属錯体フラグメントが有するd電子に由来する諸物性を組み合わせた多重機能性物質の開発を目指した。その成果のひとつとして、共存する金属イオンの種類に依存して結合様式を選択する、チミナト(2-)イオン架橋環状ロジウム四核錯体の合成に成功した。さらに、お椀型構造を有するこの環状四核錯体を立体制御しながら連結し、方向性の高い一次元鎖状構造体の構築にも成功した。一方、核酸塩基アニオンを含む新たな擬ヌクレオシド錯体の創製にも多数成功し、その分子構造および水素結合能を明らかにした。
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