研究課題/領域番号 |
25410073
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
板崎 真澄 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (60382032)
|
研究分担者 |
中沢 浩 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00172297)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 鉄 / アルキン / 2級ホスフィン / ヒドロホスフィン化 |
研究概要 |
ホスフィン化合物は、医薬品中間体や遷移金属触媒の配位子として広く利用が展開されている。遷移金属触媒を用いてアルキンなどの炭素-炭素不飽和結合に H-P 結合を付加させることにより、対応する化合物を合成する方法も考えられる。しかし、リンは孤立電子対をもつため、触媒毒として作用することが知られており、従来までの遷移金属錯体を触媒として用いた場合、この付加反応はほとんど進行しない。 以前、我々は鉄メチル錯体 Cp(CO)2Fe(Me)を触媒とし、無溶媒で反応を行うと末端アルキンに対する2級ホスフィンのヒドロホスフィン化反応が2回進行することで、対応する2座ホスフィン化合物が生成することを報告している。 今回は、鉄メチルピリジン錯体 Cp*(CO)Fe(Me)(py)を触媒として用いて末端アルキンと二級ホスフィンの反応を行うとヒドロホスフィン化が一段階のみ進行し、目的とするビニルホスフィンが高収率で生成することを見出した。この反応は、位置選択的に進行し、主生成物として Z 体のビニルホスフィンが得られた。また鉄メチルピリジン錯体 Cp*(CO)Fe(Me)(py)、ジフェニルホスフィン、フェニルアセチレンの化学量論反応から反応中間体を単離することにも成功した。それらの知見をもとに触媒機構に関しても明らかにすることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでにない鉄錯体を用いた末端アルキンの選択的ヒドロホスフィン化反応を見出すことができた。この反応では、得られる化合物がビニル部位を有しているため、さらなる反応で化合物を変換することができるため、非常に有用な反応であるといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに鉄錯体を触媒とすることでアルキンのモノヒドロホスフィン化反応が進行し、ビニルホスフィンを得ることに成功している。そこで系中にヒドロシランやピナコールボランなどの典型元素-水素結合をもつ化合物を添加することで、ビニルホスフィンの炭素-炭素二重結合部位にさらに付加反応を進行させ、有用な化合物を合成することを目的とする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
来年度の研究室の人員の増加および測定機器の測定費、修理費が嵩むことが予想されるため、当該年度の予算執行を控えた。 人員の増加に伴う初期費用を含め、適切に使用していく。
|