研究課題
グラフェンに対して導入したさまざまな異種化学種との間の界面相互作用を精密に制御することにより,グラフェンの電子状態を変調し,新規な反応性,磁性,伝導性の発現を目的として研究を行い,以下の成果を達成した.1)酸素含有官能基を持つグラフェン誘導体である酸化グラフェンを磁性金属を用いないBrodie法で合成し,静磁化率,電子スピン共鳴の評価を行った.さらに磁性不純物としてMnが含まれてしまう通常のHummers法で合成した酸化グラフェンについても過酸化水素などを用いた洗浄を施し,ICPによる評価によりMn不純物を完全に除去することできた.これらの試料について磁気的性質を比較したところ,スピン濃度や低温での磁化過程および高マイクロ波照射時の電子スピン共鳴信号の飽和挙動などが2つの試料で著しく異なることを見出し,合成法により酸化グラフェンの官能基構造が異なっていることを明らかした.2)ナノダイヤモンド上に成長させたグラフェンに対して,酸素分子を導入した系におけるエッジ状態スピンと酸素分子スピンの特異な反強磁性ダイマーの形成について,極低温での電子スピン共鳴と静磁化率の測定結果を得て,詳細な解析を行い,第一原理計算の結果との比較を行ったところ,グラフェン端部位への酸素分子吸着に伴う電荷移動が特異な磁気スイッチング現象を生み出していることを明らかにし,論文に取りまとめたものを投稿中である.3)グラフェン電界効果トランジスタ構造のチャネル部位に水素分子を吸着し,水素エッチングによるグラフェン表面吸着物のエッチング効果と同時にホールドープが進行することを明らかにした.
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (34件) (うち国際学会 23件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Carbon
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http://takailab.ws.hosei.ac.jp/