研究課題/領域番号 |
25410096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
末宗 洋 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20095897)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アズレン / ヘリセン / 有機薄膜太陽電池 |
研究概要 |
本研究では、塩化白金触媒による芳香族環変換反応を基軸としたアズレンノヘリセン類を創製し、その物理化学的諸性質の解明と新規材料としての応用研究を目指す。計画している研究項目は、①アズレン縮環系ヘリセン化合物の効率的合成法の開発、②アズレノヘリセン誘導体の合成とその物性評価、および③アズレンの電子受容体材料としての応用研究の3つである。 本年度は研究項目①を中心に実施した。塩化(II)白金を触媒とするアズレノヘリセン形成反応に用いる基質は、合成に多段階を要するため、短工程で合成可能なモデル基質(ヘリセン用構造は与えない)を設計・合成し、触媒条件の最適化の検討を行った。その結果、白金触媒としてPtCl2またはツァイゼ塩[{(η2-C2H4)PtCl2}2]に対し電子欠損型配位子を組み合わせることで、環化異性化反応が円滑に進行する条件を見出した。特に、PtCl2と電子欠損型含フッ素配位子の組み合わせ条件下、1-(1-エン-3-イン)-2,6-ジアルキルベンゼン誘導体を、対応する置換アズレン体に高収率(85-99%)で変換させることに成功した。 また、本反応機構を計算化学(DFT計算)を用いて詳細に解析した結果、電子欠損型含フッ素ホスフィン配位子が触媒サイクルの効率化に極めて重要であることも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル反応ではあるが、塩化白金を触媒とする炭素骨格変換反応によりアズレン構造を効率的に与える条件を見出すことに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は触媒的環化異性化反応を基軸としたアズレン形成反応の基質適用範囲の探索を図り、それを足掛かりとしてヘリセン縮環型ヘリセンの効率的合成法の開発を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度に、合成化合物のスペクトル分析を行う予定であったが、対象化合物の合成が遅延したため、未使用額が生じた。 合成化合物のスペクトル解析を次年度に行うこととし、未使用額(1,367円)はその経費に充てることとしたい。
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