研究課題/領域番号 |
25410110
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
前川 博史 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70283041)
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研究分担者 |
山本 祥正 東京工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90444190)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マグネシウム / 電子移動 / 有機合成 / 環境調和 / 還元 / カップリング |
研究実績の概要 |
メタ配向性のイソブチロフェノン誘導体や安息香酸エステルのマグネシウム還元アシル化反応については,トリフルオロアセチル化反応の結果を元に条件検討を行ったが,アシル基の導入が起きた形跡は見つからず,現時点では困難であるとの結論を得た。 また,マグネシウム還元反応によるアズレンの6位へのトリフルオロアセチル基導入は,置換アズレンの合成が容易ではなく,順調には進行していない。一部の基質では,反応は進行するものの収率は伸びないという結果となった。 一方,マグネシウム還元反応による酸塩化物を用いた4-フェニル-3―ブチン-2-オンのアシル化反応は,シリル化反応と異なる生成物が得られることを明らかにした。4-フェニル-3―ブチン-2-オンの還元反応はシリル化反応とほぼ同様に進行するが,生成したアレンはアシル基が直結しているため,更なる還元反応が起こり,カルボニル基の酸素原子であった酸素はカルボキシラートとして脱離して,三重結合の位置移動を伴った化合物が主生成物として得られた。そこで4-フェニル-3―ブチン-2-オンの誘導体を合成し,その反応の一般性を調べた結果,多くの基質で同様の反応が進行することを見いだした。芳香環に共役するエステルを有する基質では,生成するアニオンラジカル種の安定化効果のためにアシル化が阻害され,収率は低下する。さらに,酸塩化物として二酸を用いると,収率は低下するものの2つの酸塩化物が反応に関与し,環状ラクトンが主生成物として得られることを見いだした。ラクトン環は5員環,6員環,7員環を形成する場合に生成し,ひずみの少ない6員環の収率が最も良かった。一方,酸無水物を用いるアシル化反応は円滑に進行しないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は,平成25年度に引き続き,計画した研究3件を実施した。そのうちの2件は,期待したように反応が進行しなかったもの,合成の困難さにより順調には進行していないものであるが,前者では新たな事実がわかった。残る1件については,平成27年度に実施予定であった課題を繰り上げて実施し,予想とは異なる結果であったものの新たな発見をすることができ,その一般性も明らかにした。以上のことから,総合的には平成26年度の研究はおおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究において,明確な進展があった1件については,平成27年度も引き続き残された研究計画を実施し,計画にない研究にも着手する。あまり成果が出なかった2件の研究計画のうち,1件については平成25年度に成果が出ていることから,異なる視点で引き続き継続して研究を実施する。もう1件については,その進展が現時点では見込めないので,新たなアイデアを出す工夫をしつつも,成果が見込まれる他の2件に主に集中して研究を推進する。
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