ピリジン-2-カルボン酸は、古くから知られている配位子であり、これまでに10000を超える金属錯体が報告されている。一方で、これらの錯体を用いた不斉触媒反応への展開例はほとんどない。本研究では、本配位子の触媒反応における潜在的特徴に着目し、その触媒機能開発にむけて、軸性キラリティーを有する2-アリールピリジン骨格を設計・合成し、その光学的安定性を調査することによって不斉反応に向けた配位子設計指針を得た。この基盤をもとに、独自に有効性を見出した脱水的アリル化反応を展開して、従来のTsuji-Trostアリル化反応では実現困難であったカルボン酸を求核剤とするアルケニルラクトン合成法を確立した。
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