研究実績の概要 |
研究代表者らはイミノシクロブテノンの還元反応によって得られるアミノシクロブテノンの熱的開環-閉環反応により、抗生物質の代表的な骨格の一つでありかつ含窒素化合物を立体選択的に合成するための有用なビルディングブロックである、ラセミ体のcisおよびtrans-β-ラクタム化合物の高ジアステレオ選択的合成法を既に見出している。さらに、イミノシクロブテノンのエナンチオ選択的還元を経るキラルなβ-ラクタム合成の開発を行い、フェニル基を有するリン酸ジエステル触媒の存在下、還元剤としてベンゾチアゾリンを用いることにより、高エナンチオ選択的に対応するアミノシクロブテノンを得、引き続く熱的開環-閉環反応によって、キラルなcisおよびtrans-β-ラクタムの選択的合成にも成功している。そこで平成27年度は、そのキラルなβ-ラクタム合成法を鍵反応に用いる生理活性化合物の合成として、高脂血症治療薬Ezetimibeの類縁体合成に着手し、出発物質のジアルキニルイミンへのケテンシリルアセタールの共役付加反応を経るイミノシクロブテノンの合成を検討した。その結果、新規1,4-1,6-二重求核付加反応が進行し、多官能基を有するイミノシクロフブテノンが良好な収率で得られることを見出した。引き続くイミノ基選択的還元によって得たアミノシクロブテノンの熱的開環-閉環反応によって、多官能基を有するβ-ラクタムがtrans選択的に得られることも明らかにした。 また、アルキニルイミンと環状β-ケトエステルとの共役付加反応により得られたビシクロ-2-ピリドンの官能基変換により、香料成分(±)-Muscopyridineの類縁体合成を達成した。
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