本研究では,ビニルアレーンを原料として,独自に見出したパラジウム触媒系を用いて,(1)逆マルコフニコフ型Wacker型酸化によるアリールアセトアルデヒド合成反応,(2)末端アセタール合成反応,(3)炭素-炭素二重結合の酸化的開裂によるベンズアルデヒド誘導体合成反応,の3種類の反応を開発した。いずれの反応も常圧の分子状酸素を末端酸化剤として用いることができ,室温に近い穏和な条件下で進行することから,これらの反応は末端アルケンからのアルデヒドおよびその誘導体の新しい環境低負荷型合成法といえる。添加剤としてマレイミドなどの環状の電子不足アルケンを用いることが本反応における触媒活性向上の鍵である。
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