研究課題/領域番号 |
25410126
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小幡 誠 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (70343267)
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研究分担者 |
廣原 志保 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (70413804)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖質高分子 / 精密重合 / ドラッグデリバリーシステム |
研究実績の概要 |
近年、樹状細胞へのガン抗原輸送によるガン免疫療法や、肺胞マクロファージへの抗菌薬輸送によるレジオネラ肺炎等の治療など免疫系細胞への生理活性物質輸送が重要性を増している。マクロファージや樹状細胞などへのターゲッティングにはマンノース受容体を利用する方法が効果的である。一方、近年の精密重合の発展により糖を側鎖に有する高分子(糖質高分子)においても複雑な分子設計が可能となってきている。我々はこれまでにマンノースを有する結晶性モノマーManEMAの精密重合技術により、マンノースを側鎖に有する糖質高分子PManEMAの合成手法を研究してきた。本研究課題では糖質高分子PManEMAと生分解性セグメントとのブロック共重合体を合成し、水中で自己組織化することによりマンノースで覆われたドラッグデリバリーシステム用ナノ粒子の創製を目的としている。 平成26年度は平成25年度に引き続き、主にカップリング反応によるブロック共重合体の合成方法の開発を行った。ManEMAとポリ乳酸(PLLA)のブロックコポリマー(PManEMA-block-PLLA)については、合成に必要な技術(ManEMAの確実な合成技術およびミクロ重合技術)を確立し、系統的なポリマー合成の段階に入っている。一方、ManEMAとポリ(L-リシン)(PLL)とのブロックコポリマー(PManEMA-block-PLL)については、側鎖アミンをZ基で保護した状態でのブロックコポリマー(PManEMA-block-ZPLL)の合成に成功した。また研究分担者において現在マクロファージRAW 264.7を用いた評価系の確立を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PManEMA-block-PLLAの方は比較的順調に進行している。しかし、PManEMA-block-PLLの合成は困難を極めている。ブロックコポリマー合成後にZ基を除去する方法はPManEMAが酸加水分解を起こしてしまうことが明らかとなった。一方、Z基を保護したあとクリック反応のカップリングを行う方法はアミノ基が大量に存在するために、今のところ成功していない。現在、この対策を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
PManEMA-block-PLLAの方は、セグメント長の異なるブロックコポリマーの合成を行いPManEMAで覆われたPLLAナノ粒子の創製を進める。PManEMA-block-PLLの方は、(1)リシンのアミノ基存在下でもクリック反応が進行する条件の探索、(2)酸加水分解耐性を有する糖モノマーの開発を平行して行う。系統的な合成が完了したものから順次、機能評価に移行する。
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