研究課題
本研究課題ではマンノースを側鎖に有する糖質高分子PManEMAと生分解性セグメントとのブロックコポリマーを合成し、水中で自己組織化することによりマンノースで覆われたドラッグデリバリーシステム用ナノ粒子の創製を目的としている。最終年度は疎水性セグメントを有する糖質高分子として、PManEMAとポリ乳酸(PLLA)のブロックコポリマー(PManEMA-block-PLLA)の系統的な合成とミセル化の検討、さらにカチオン性セグメントを有する糖質高分子として、側鎖にグルコサミンを有するアクリルアミド(PAG)とポリ(L-リシン)(PLL)とのブロックコポリマー(PAG-block-PLL)の合成研究を進めた。さらにマクロファージRAW 264.7を用いてPManEMAの取り込み挙動を調査した。その結果、水中原子移動ラジカル重合(ATRP)とクリック反応を併用することによりPManEMA-block-PLLAを系統的な合成を達成し、さらにそのミセル形成能を明らかにした。しかし、未反応のセグメントが不純物として混入すること、また重金属を使用するため安全性の観点から問題があるなどの課題が残った。一方、PManEMA-block-PLLの合成は保護基の除去の際、ManEMAユニットが分解してしまうことが障害となった。これは容易に解決しないためグルコサミンのアクリルアミドモノマー(AG)の利用を計画した。モデルモノマーとしてN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)を用い、アミノ基を有するATRP開始剤を用いた二官能性開始剤法でPNIPAM-block-PLLの合成を達成した。一方、蛍光ラベルしたPManEMAを用いてRAW 264.7による取り込み挙動を調査したが、マンノースユニットが密集したホモポリマー構造では取り込みの亢進は確認できなかった。マンノース密度の調整が必要と考えられる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Journal of Applied Polymer Science
巻: 133 ページ: 印刷中
10.1002/APP.43316
Journal of Medicinal Chemistry
巻: 58 ページ: 8658-8670
10.1021/acs.jmedchem.5b01262
http://www.ccn.yamanashi.ac.jp/~mobata/index.html