研究課題/領域番号 |
25410134
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
甲野 裕之 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70455096)
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研究分担者 |
小島 洋一郎 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (50300504)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | シクロデキストリン / セルロース / グアーガム / キトサン / 複合化ゲル / NMR |
研究実績の概要 |
今年度は昨年度に引き続きシクロデキストリンの重合化と包摂分子の解析を検討した。シクロデキストリンを重合化する場合、架橋剤として非毒性のポリエチレングリコールを使用し、ゲスト分子に対する反応速度論的解析、吸着等温式モデルを採用した。ゲスト分子としてビスフェノールA(BPA)を用いたとき、シクロデキストリンポリマーは擬二次反応として取り扱えること、さらにはLangmuir吸着等温式で近似できることが新たに明らかになった。また架橋剤であるPEG鎖長を変化させてシクロデキストリンポリマーのBPA吸着効率を検討したところ、シクロデキストリンとBPAは1:1錯体を形成していることがNMR的解釈から明らかになった。固体緩和解析からシクロデキストリンとPEGは相溶性を示し、この結果、ブロック的な重合ではなく均一な分子構造であることが証明された。 バイオポリマーについては酢酸セルロースとカルボキシメチルセルロースについて注目し、その分子構造解析を進めた。セルロース置換基の2、3、6位分布とNMR化学シフトの相関について検討を行なったところ、置換基効果に関する新たな知見が得られた。またモノ置換体のジ、トリ置換体のシフト変化を解析したところ、化学シフトの加成性が成立することを実証した。さらに酢酸菌に13C標識したグルコースを投与し、得られるバクテリアセルロースを各種誘導体した13Cラベル化誘導体に関して構造解析を実施した。蛋白質・核酸で用いられるprotein NMR法をこれらに適用したところ、数時間で複雑なセルロース誘導体の化学シフト帰属が可能であることを明らかにした。 これら成果はCarbohydrate Polymer誌など海外査読付き学術論文として6報掲載され、現在2報が審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の目的である分子認識ゲルの合成に成功しただけでなく、関連した構造-機能相関に関する知見が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は計画どおりに研究活動を実施する。さらに本年度は物理特性の向上を目的として、バクテリアセルロースナノファイバーをバイオゲルに取り入れた研究を含める。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の節約等で消耗品費が低減できた。一方、バイオポリマー合成技術修得のため、北海道大学等への出張が生じ、成果が大きく進展したことに伴い、学会発表旅費と英文校正費が増加したことが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
今後も査読付き学術論文への投稿が控えており、差額分を英文校正・投稿費用に充てる。綿密な使用計画を立て、研究を推敲していく。
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