研究課題
本課題では,「生体中微量金属イオンがどのタンパク質にどれだけ結合しているのか」を計測するためのポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)を基盤とした簡易で高感度なスペシエーション技術を確立することを最終目的とする。前年度までに汚染金属イオンスウィーピング(MICS)-ブルーネイティブ(BN)-PAGE/金属検出PAGEシステムを確立し,実試料として紅色光合成細菌Rubrivivax gelatinosusのペリプラズム空間試料中の銅イオンの分布計測を行い,その結果,CopIタンパク質が銅結合性タンパク質であることを初めて見出している。本年度は銅イオンを過剰に添加しないR. gelatinosus試料ではCopIが発現せず,かつその他の銅イオン結合性タンパク質も発現していないことを見出し,これらの知見を論文化した。さらに,カドミウムイオンを過剰に添加したR. gelatinosus試料中のカドミウムの分布を調査し,現在のところメタロタンパク質の同定には至っていないものの,カドミウムイオンがある特定のタンパク質分子量分画に局在化することを見出した。また,前年度から進めていたメタロタンパク質を単離するための二次元対角法であるホロ/アポ変換二次元MICS-PAGEの開発を推し進め,PAGEの分離様式としてBN-PAGEだけではなく,尿素-PAGEも効果的であることを見出した。ホロ/アポ変換二次元-MICS-尿素-PAGEによって鉄結合性タンパク質トランスフェリン(Tf)の4つの化学種(Fe2-Tf, Fe-Tf〔CローブおよびNローブ結合型〕,Tf)の単離に成功した。また,ホロ/アポ変換-二次元MICS-BN-PAGEによって,銅イオンを過剰に添加したR. gelatinosusのペリプラズム空間試料中のCopIタンパク質の単離に成功し,ホロ/アポ変換二次元MICS-PAGEが実試料にも有効であることを実証した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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