研究課題/領域番号 |
25410145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
島崎 洋次 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (80284389)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | タンパク質凝集体 / 分離分析 / 捕獲システム / アミロイドβ / 抗体固定化膜 / 蛍光検出 |
研究概要 |
本研究では、タンパク質凝集体を選別捕獲し、定性、定量分析できるシステムを構築し、この技術を疾患関連タンパク質の分析に適応することを最終目標としている。 平成25年度はアミロイドβ単量体をアビジンとビオチンの親和性を利用し作製した抗体固定化膜をにより分離精製し、これを質量分析装置(MALDI-TOF MS)により分析する方法を構築した。さらに、アミロイドβを試験管内で凝集化し、この凝集体を非変性条件の電気泳動法および抗体固定化膜法により分離精製する方法を見出した。凝集体の確認は凝集体に特異的に結合し蛍光を発する色素(チオフラビンT)を用いることにより行った。この方法で精製されたアミロイドβ凝集体の粒子の大きさを動的光散乱装置により計測したところ100 nm以上であることがわかった。しかしながら、この凝集体の分離法は回収率が約20%程度であったため、この点をさらに改良する必要があると考えられる。また、動物由来の血清や脳脊髄液中含まれた状態のアミロイドβ単量体および凝集体を選別捕獲できるかを検討する必要がある。 以上から、アミロイドβ単量体を抗体固定化膜により、アミロイドβ凝集体を非変性条件の電気泳動法と抗体固定化膜の組み合わせにより分離する方法を実際に構築できた。さらに、この方法を改良していくことにより、神経毒性を有するアミロイドβ凝集体の分離検出法の確立につながるものと考えられ、これらの技術はアルツハイマー病などの神経疾患の早期発見技術として応用が可能と期待される。さらに、アミロイドβ以外の凝集体化するタンパク質の網羅的な分析技術の構築につながるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アミロイドβを例としてタンパク質凝集体の分離および検出法をおおむね確立するすることができた。具体的には、今まで自ら確立してきたタンパク質を非変性条件で電気泳動法とアビジンービオチン化抗体法を組み合わせることにより、凝集化したアミロイドβを分離することができた。現在、凝集化したアミロイドβをヒト血清と混合し、この方法によりアミロイドβ凝集体を選別捕獲可能かを検討している。以上の研究の進展状況から、現在のところ研究は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
凝集化したアミロイドβをヒト血清や動物脳脊髄液と混合し、平成25年度に確立してきた方法によりアミロイドβ凝集体を選別捕獲可能かを検討する。さらに、回収率の向上を目指した分離分析方法の改善を行う。アミロイドβ以外の他のタンパク質凝集体についても検討し、タンパク質凝集体の網羅的な分析方法の確立を目指す。
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