正の誘電泳動による細胞操作法を利用して異なる細胞のパターンを高い自由度で作製した.透明導電性基板を下面に,ポーラスアルミナ膜またはポーラスPET膜上面に用いたマイクロ流路構造を作製し,ポーラス膜状にニードル型のマイクロ電極を配置した.マイクロ電極と透明導電性基板間に交流電圧を印加すると正の誘電泳動により細胞をポーラス膜に集積化でき,マイクロ電極を走査することにより任意の形状の細胞パターンを作製できた.また,1種類目の細胞のパターン形成を行った後,異なる種類の細胞をパターニングできることを示し,異種細胞配列体をできた. 骨格筋細胞であるC2C12細胞をライン配列化し,分化させることにより筋管細胞のライン配列体を得ることができ,電気化学顕微鏡を用いて筋管細胞の拍動に伴う酸素消費量の変化を経時的に捉えることができた.拍動の周波数に依存せず,1回の拍動あたりの酸素消費量がほとんど等しいことを示唆する結果を得ることができた. マイクロ電極を用いた誘電泳動ピンセットの開発を行った.ターゲットとする細胞の近傍にマイクロ電極を設置し,正の誘電泳動により個々の細胞をマイクロ電極先端に形成した微小孔内に捕捉できた.その後,電圧印加を停止しxyz方向に電極を移動させても細胞は微小孔から脱離することなく任意の位置に移動させることが可能であった.その位置で負の誘電泳動を作用させると微小孔内に捕捉された細胞をその位置に再配置できた.この方法を繰り返すことにより,細胞の位置を高度に制御したパターンを作製することが可能であった.これら2つの細胞操作法を融合することにより,極めて高度に配列化した細胞アレイを得ることが可能となった.
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