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本年度は昨年までに購入したマルチチャンネル分光光度計用の投稿用ファイバーを購入した。その後、以前の科研費（平成22年度～24年度基盤研究（C)）で開発した実験室系in-situ XAFS スペクトル測定装置への組み込みを行った。今回開発した装置の性能評価を行うため、はじめに標準試料として遷移金属の水和錯体の測定を行った。我々はこれまでに各種銅錯体の合成と構造解析を行ってきたことから、はじめに銅の水和錯体についての測定を行った。測定試料としては塩化銅の水溶液を用いて、我々の装置で可視吸収スペクトルの測定を行った。比較のために市販の可視吸収スペクトル装置で測定したスペクトルと我々の装置で測定した吸収スペクトルを比較した結果、ほぼ同様のスペクトルを得ることができた。この結果から、この装置で十分に金属錯体の可視吸収スペクトルが測定可能であることが示された。また、現在我々は可視吸収スペクトルを多電子近似を用いた分子軌道法（DV-ME法）を用いて解析することで金属イオン周りの局所構造を決定する分析法の開発を行っている。今回得られた可視吸収スペクトルはこの解析にも十分適応可能であることが示された。我々が合成したトリアザ環銅錯体は配位子の環サイズを変化させることで銅イオン周りの局所構造が四角錐型から三方両錐型へと徐々に変化していくことが明らかとなっている。このように中心金属の局所構造が変化すると可視スペクトルやXANESスペクトルに変化が生じる。そこで、このようなトリアザ環銅錯体を試料として我々が作成した装置を用いて可視吸収スペクトルおよびXANESスペクトル測定を行い溶液中の金属錯体の溶存構造解析を行っていく。
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