研究課題/領域番号 |
25410157
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高山 勝己 福井工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (70226934)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 細胞表層発現 / ニトロレダクターゼ / バイオセンサー / ニトロ化合物 / 酵母 / 有機リン農薬 / 有機リン加水分解酵素 |
研究概要 |
有機リン化合物は、アセチルコリンエステラーゼを強く阻害し、神経伝達を攪乱する物質として知られている。パラチオン、メチルパラチオンは1950年代初めに開発されたが、ヒトに対しても高い毒性があるために国内での生産・使用は中止されている。しかしながら開発途上国においては、使用が継続されたままであり農産物汚染や土壌汚染が危惧されており、農産物中の有機リン化合物に対する検出法や土壌浄化法の研究開発が必要とされている。本研究ではパラチオンにターゲットを絞り、すでに開発済みのFlavobacterium由来有機リン加水分解酵素(OPH)表層発現酵母触媒により生成するp-ニトロフェノールを電気化学的に高感度に検出するためのあらたな反応系を構築することにある。大腸菌由来ニトロレダクターゼ (NIR)はp-ニトロフェノールをp-アミノフェノールに還元する酵素であり、後者は前者に比べて、電極を用いてより低電位で高感度に検出できる。平成25年度は、酵母の細胞表層にNIRを発現させるプラスミドを構築し、酵母に形質転換を行い、適当な培養条件の下で細胞表層にNIRを発現させることに成功した.蛍光抗体染色法により表層にNIRが発現していることも確認し、p‐ニトロフェノールを基質として,表層発現 NIRの触媒活性評価を行った.NIRを表層発現しない宿主酵母(MT8-1)に比べ、NIR表層発現体は4倍程度の活性を有していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の第一課題はp-ニトロフェノールをP-アミノフェノールに変換するために用いるニトロレダクターゼ(NIR)表層発現酵母を創製することである(25年度計画)。これに必要なプロセスは、1)大腸菌からのニトロレダクターゼ(NIR)遺伝子の取得、2)タンパク質酵母表層発現用プラスミドへのNIR遺伝子の組み込みと酵母への遺伝子導入、3)NIR酵母細胞表層発現のための最適培養条件の検討、4)NIR活性の確認である。本年度はいずれも目的をほぼ達成したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
NIR酵母表層発現に用いるアンカーの種類(NIRのアンカー結合部をN末端にする場合とC末端にする場合)が酵素活性に及ぼす効果を検討する。p-ニトロフェノールの分解もしくは反応生成物であるp-アミノフェノールの生成速度から各種酵素パラメータ(km, Vmax, kcat)を見積もる。有機リン加水分解酵素(OPH)表層発現酵母触媒と組み合わせてパラチオンバイオセンサーを構築し、応答特性を評価することを目指す。
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