研究課題/領域番号 |
25410158
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
西村 勝之 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 准教授 (00334631)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 固体NMR / 測定法 / 開発 / 安定同位体 / 天然存在比 |
研究概要 |
安定同位体非標識試料に有効な固体NMR測定法の開発を目的に、測定する試料に適した観測核種、および測定法の検討を行った。予定を変更して、全てマジック角試料回転(MAS)条件下で測定を行う方法の検討を行った。 まず、一般的な有機物として、安定同位体非標識の合成高分子をモデル試料とした測定の検討を行った。1H-13C異種核間相関NMR法を用いて、天然存在比同位体13Cで検出する半定量的分子間距離測定法の検討を行った。13C核近傍の1Hとの異種核間磁気双極子相互作用存在下で、この影響を受けずに遠位の1Hとの間の、異種核間磁気双極子相互作用に基づく、相関信号の検出を試みた。また、本測定法を用いて、特定条件下で混合された異なる2分子間での分子の相対配座の決定を試みた。 次に、比較的1H核濃度の低いモデル試料として、無機材料中の水素の状態を観測した。試料調製法を変えることにより、取り込まれる水素の状態が複数存在し、かつその状態が変化する複数の試料で検証をおこなった。高磁場下での試料管の高速回転により1H同種核間磁気双極子相互作用を時間平均して、比較的高分解能な1Hのスペクトルの検出を行った。本試料のような低1H濃度の試料では、従来のラジオ波による多重パルスを用いた1H核間の同種核間磁気双極子相互作用の消去と試料回転を組み合わせるCRAMPS法を用いなくても、20-32kHzまでの試料回転条件では、MASによる高速回転のみで十分高分解能を得ることが可能であることを検証した。高速、低速試料回転のスペクトル間の比較により、スペクトルの広幅成分が吸着状態の分布に起因するものか、1H核間の同種核間磁気双極子相互作用に起因するものであるかを検証し、試料調製によって変化する局所的な水素吸着の違いを検出することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度、主に使用する予定であった分光計に導入されたプローブに仕様変更が生じた。このため、使用を予定していた特別用途の市販試料管が使用できなくなり、一部予定していた実験ができなくなった。この問題の解決のため、若干の遅れが生じた。研究は、次年度行う予定であった実験と一部予定を振り替え、概ね予定通り、研究を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、使用予定であった分光計に導入されたプローブの仕様に変更が生じた。 初年度行う予定であった実験と、次年度行う予定であった実験を一部入れ替えて研究を開始しすることにより、時間のロスを最小限にとどめた。 また、上述の問題を解決するための部品開発、さらに一部、別用途の市販試料管の購入により、予定していた実験の一部が実施が可能になった。今後は予定通り実験を行い、研究を遂行する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験の延滞に伴い、物品の購入時期が若干遅れたため。 実験の進捗に合わせて、必要物品を購入する。基本的に計画に変更は無い。
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