研究課題
本研究は、生体分子および天然の有機低・高分子などを対象に、天然存在比同位体の観測に基づき、分子の構造解析を行うのに有効な固体核磁気共鳴測定法の開発を行い、これらの分子の構造解析を行うことを目的として研究を行った。測定法開発では、以下の4点について行い、概ね達成された。1.高速MAS下の高分解能1H-13C異種核間2次元相関NMRの測定法の開発の試み。2.安定同位体単一標識スパイ分子からの磁気双極子相互作用を天然存在比同位体で観測し、複数の異種原子間距離の同時測定を行う測定法開発の試み。3.天然存在比同位体の観測のみで、1Hおよび13Cの信号帰属が可能な解析手法の検討。4.天然存在比同位体からの信号の寄与を消去し、安定同位体標識間の信号相関を得ることにより、信号帰属を達成する測定法の開発の検討。試料の解析では、新規の合成有機低分子、高分子の分子構造、および分子状態の解析、さらに、天然物の分子構造変化など、複数の試料の解析に成功した。これらの解析では、天然存在比同位体を観測して、既存の測定法に加え新たに検討した手法を用いて、信号帰属および分子構造解析に成功した。本研究成果は、固体NMRを用いた有用な分子材料の精密分子構造解析手法のさらなる発展に寄与することが期待される。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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