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2014 年度 実施状況報告書

表面ナノ領域の化学結合状態の深さ方向分析

研究課題

研究課題/領域番号 25410160
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

江坂 文孝  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門・原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (40354865)

研究分担者 山本 博之  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門・量子ビーム応用研究センター, 研究主席 (30354822)
笹瀬 雅人  公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター, その他部局等, 研究員 (60359239) [辞退]
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードX線吸収分光法 / X線光電子分光法 / 深さ方向分析 / シリサイド
研究実績の概要

平成26年度は、シリコン(100)単結晶上に抵抗加熱蒸着法により1, 2, 5, 10 nmの膜厚の金を蒸着した試料を用いて、高エネルギー加速器研究機構の放射光ビームライン(BL-27A)において、X線吸収分光(XAS)によるスペクトルの取得を行った。
XAS測定では、まず、それぞれの膜厚の試料に対して基板成分であるSiのK-edge(1830-1860 eV)および薄膜成分であるAuのM-edge(2720-2800 eV)の吸収スペクトルの取得を行った。その結果、SiとAuの信号強度の比が膜厚に大きく依存することが示された。次に、それぞれの試料について、XAS測定による深さ方向分析を試みた。ここでは、XAS測定の際に検出する電子のエネルギーを5, 10, 20, 30, 40, 50, 100 eVと変化させてXASスペクトルを取得し、その変化を調べた。その結果、Au/Siの信号強度比は、5~50 eVのエネルギーの範囲で、検出する電子エネルギーの増加とともに顕著に増加することが示された。一般的に、電子の平均自由行程は、電子エネルギーの増加とともに減少して50 eV付近で最小となり、その後、増加していく。従って、50 eVのエネルギーの電子を検出した場合には、より表面からの情報のみを得ることになり、本実験の結果はその傾向と一致していた。以上のことより、XAS測定において、検出する電子のエネルギーを変化させることにより非破壊での深さ方向の分析が可能であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の目標であったX線吸収分光(XAS)測定による深さ方向分析の検討において、検出する電子のエネルギーを変化させることにより、異なる深さからの情報を得ることが可能であることを実証した。以上より、本分析法による表面ナノ領域の深さ方向分析の有効性が示され、次年度のシリサイド材料表面の詳細な評価のための基礎データを取得することができた。

今後の研究の推進方策

本年度の検討により、検出する電子のエネルギーを選択することによるXAS測定での非破壊深さ方向分析の有効性を示した。また、膜厚既知の標準薄膜試料の分析と電子の非弾性散乱平均自由行程の値から、XAS測定においてどの程度の深さからの情報が得られているかを推測することができた。今後、本法とX線光電子分光法を用いて、熱電材料として注目されているシリサイド材料の評価に適用し、例えば、マグネシウムシリサイド試料の表面酸化膜がどのような化学結合状態で、深さによってどのように異なっているのかなどを詳細に分析・解析していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

当該年度中に国際会議での発表を予定していたが、年度前半のマシンタイムの配分が予定よりも短くなったために発表申込みまでに必要最低限のデータしか取得できなかった。このため、より充実した内容での発表を行うために、当該年度での国際会議での発表を見送り、次年度に発表することとした。このため、国際会議での発表のための費用を次年度に使用する。

次年度使用額の使用計画

9月の国際会議で成果を発表のために使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] X線吸収分光法における電子エネルギー選択による固体表面の非破壊深さ方向分析2014

    • 著者名/発表者名
      野島健大、江坂文孝、山本博之
    • 学会等名
      日本分析化学会第63年会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2014-09-17 – 2014-09-19

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公開日: 2016-05-27  

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