研究課題/領域番号 |
25410169
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
奥 浩之 群馬大学, 理工学研究院, 准教授 (20301749)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マラリア原虫 / 感染履歴 / 抗体価測定 / ペプチド / 抗原 / 放射線重合 / ナノ微粒子 |
研究概要 |
マラリアは熱帯・亜熱帯を中心に蔓延する世界最大の感染症であり、世界中で最先端の科学技術を織り込んだ診断法、治療薬、ワクチンの開発が進められている。一方で最先端の対策手法や医療は、必ずしもマラリア流行地の開発途上国では使えない問題や、必要とする患者には届かないという問題が指摘されている。そこで我々は、流行地でも普及可能な材料技術開発を目指し、マラリアの診断に有用な、ペプチドナノ微粒子による抗体価測定のキット開発を行っている。平成25年度は(1)高分子ナノ微粒子の作成、(2)抗原の化学合成、(3)抗原微粒子の作成と(4)抗体価測定を行い、当初の計画以上に進展することができた。 (1)高分子ナノ微粒子はdiethylene glycol dimethacrylate とmethacryloyl succinimide esterをγ線による共重合反応から作成した。 (2)マラリア原虫蛋白質について新しいペプチド抗原の設計と合成を行った。すなわちSERA5、CS-protein、AMA1(2種類)の4種類について設計、合成、精製を行った。 (3)検査用ナノ微粒子は抗原ペプチドをナノ微粒子表面に化学修飾することで作成した。 (4)抗体価測定はマイクロタイター法により行った。即ち、96穴マイクロプレート上に被検血清の希釈系列を作成後、検査用微粒子の懸濁液を滴下、振とうの後、凝集像を観察した。本研究の被験血清として、マラリア既往流行地住民、既往の無い日本人ボランティアの検体を用いて、それぞれの抗原ペプチドに特徴的な反応性が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度に予定していた、高分子微粒子作成と(1)高分子ナノ微粒子の作成、(2)抗原の化学合成に加えて、 平成26年度に実施予定であった(3)抗原微粒子の作成と(4)患者血清を用いた抗体価測定も着手したため、当初の計画以上に進展することができたと評価した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに順調に研究が進んでいる。そのため平成26年度は新しく、熱帯熱マラリア原虫の粗抗原を化学修飾した微粒子を作成し、96穴マイクロプレートを用いたラテックス凝集反応によって抗血清や患者血清との反応性を測定する。ペプチド抗原との比較によってそれぞれの特徴を明らかにする計画である。すなわち患者血清を用いてマラリア感染履歴の診断への有用性と限界を検証する。さらには4+1種類あるヒトマラリアの鑑別(熱帯熱・三日熱・卵形・四日熱マラリア+サルマラリア)の可能性も検証する。
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